2014-04-08
La Porte étroite の中で悪党役を担当しているのは、主人公の叔父の妻 Lucile Bucolin である。妖しげな魅力がある女性として描かれている。kindle版のno.61に次のような文がある。Lucile Bucolin était creole; elle n’avait pas connu ou avait perdu tres tot ses parents. とある。放蕩な女性であるのは creoleだからだとか、出生が定かでないからという偏見が見えてくる。膨大な植民地を保持していた当時のフランスにとって、帝国の周辺部からやってくるものは、すべて不気味な得体の知れないものという図式が見て取れる。Lucile Bucolin がパリの中産階級出身では、この物語の座りがわるいものになったろう。
彼女を形容するのに使われている語は、abandonnee, orpheline, soeur adoptive, bizarrement, embarrasser terriblement, seduisante, mal である。とにかく、散々な言われようである。
彼女は出生には問題があるとされている。詩を読んだり、夕食時にはみんなには加わらずに、jouait avec complaissance de lentes mazurkas de Chopin; parfois rompant la mesure, elle s’immobilisait sur un accord… (no.80)ある。彼女のいらだち、道徳的、宗教的な一家の中での、居場所がない苦しみ、コミュニティーの中からも、義理の両親や妹からも疎まれている姿が見えてくる。まあ、ここまでは、Lucile に私はかなり同情的である。