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固有名詞につく定冠詞

2014-04-04

ドイツ語では格を示すために、固有名詞に定冠詞を付けることを述べた。いま、Die Errettung Fatmes を読んでいるが、no.919に次のような文がある。Ich bin ein armer Unglucklicher, aber nicht der Bassa, den du suchst. ここで、Bassaはseinの補語として主格を示すのでderを使ってある。さらに次のページに掛けて、Man brachte ein altes Weib in das Zelt, das auf die Frage, ob sie in meinem Bruder nicht den Bassa von Sulieika erkenne, antwortete: “Jawohl!” Und sie schwore es beim Grab des Propheten, es sei der Bassa und kein anderer. 4格を示すのに、denが使ってある。

このあたり、三好『新独英比較文法』で調べると次のようにある(p.69-70)。古くは人名も、普通名詞と同じように格変化をしたそうである。ウエルテルの悩みでは、Er liebte Lotten uber alles. のように、LotteがLottenとなるそうだ。人名が形容詞を伴う時は、定冠詞をとる。その場合も人名も格変化したが、だんだんと変化しなくなったようである。die Leiden des jungen Werthers → die Leiden des jungen Werther となっている。タイトルとしてどちらも大丈夫なようだ。

固有名詞だから、冠詞が付くとしたら、もちろん定冠詞になる。もちろん不定冠詞がついて格を示すことはない。それから、固有名詞に不定冠詞が付く場合だが、中性や女性扱いとなるのかならないのか。三好(p.71)では、河は男性か女性であり、山の名前は男性であり、山脈名は男性であるとのこと、湖や個々の山の名は無冠詞という。では、琵琶湖を主格か対格か判断する時はどうするのか?

あと、ふと調べていたら、「女性名詞(die See)の場合は、「海」という意味です。男性名詞(der See)の場合は、「湖」という意味です。ein Hotel an der See:海辺のホテル、 ein Hotel am See:湖畔のホテル」とある。なるほど、これは知らなかった。自分は基本的なことを知らなすぎて泣けてくる。

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