異文化の森へ

niedlich と schön

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アンデルセンの『赤い靴』を読み始めたばかりだが、気づいた点を二つほど書く。

(1)niedlich とschön では後者の方が価値が高いことである。主人公 Karen が Karen selbst wurde reinlich und nett gekleidet (no.1908) と着込むと、人々は彼女のことをniedlich と称える。und die Leute sagten, sie sei niedlich, である。すると、鏡が aber der Spiegel sagte: “Du bist weit mehr als niedlich, Du bist schön.” (no.1908)という。niedlich よりもはるかに素晴らしい、あなたは美しい、と称えているのである。

今の日本人の感覚だと、「可愛い」が「美しい」よりも価値が高いとも考えるが、西洋の当時の感覚ではschön がはるかに価値あると意識されていたようだ。

(2)上記の文で、der Spiegel が真実を語るツールとして使われている。これはグリム童話に見られることである。当時の西洋では、鏡が真実を語るものだと広くと認識されていたようだ。

そんなことを感じた。アンデルセンは厭世観が強くて、なかなか読んで楽しい話はない。幻想的であるが、結局は厭世観がライトモティーフとして作品に流れている。それが魅力だと感じる人もいるだろうが、それゆえに敬遠する人もいるだろう。

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