異文化の森へ

第8夜から第10夜

2015-03-28

第8夜では、厚い雲が出ていて詩人は月と会えない。Es waren schwere Wolken am Himmel, der Mond kam gar nicht zum Vorschein; (no.132) とても短いお話である。

第9夜(Neunter Abend)は、月がグリーンランド(Grönlands)で見た話を語ってくれる。死者たちが復活して、歌や踊りがあって、また死者の国(海の国か?der Sterbende zum Meer geführt werden konnte, no.160) に戻っていく話である。

第10夜は冒頭で、月が “Ich kannte eine alte Jungfer,” と言う。Jungfer とあるので、辞書で調べると、古語で「未婚の女性を示す」とある。また「オールドミス」の意味もあるようだ。月はこの女性に注目する。sie ging jeden Winter in einem gelben Atlaspelz, der immer neu war, (no.162)と月はいう。Atlas には、サテン(繻子)の意味があり、何かそんな服を着ているようだ。毎年、月は彼女がおしゃれをしているのを見ている。ところが、昨晩のこと、馬車が彼女の家にの前に泊まり棺を中に入れているのを目撃する。月は彼女が死んだことを知った。

no. 168では次のような文章が続く。Da schlief die stille, alte Jungfer, die im letzten Jahre nicht aus dem Hause gewesen; und der Wagen rollte aus der Stadt, so rasch, als ob es eine Vergnügungsfahrt wäre.

とにかく、『絵のない絵本』では、こんな話ばかりが続く。これは子供向けの童話ではないな。大人が読む本であり、世の無常を淡々と味わう内容の本であろう。

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