異文化の森へ

ライクロフトに共鳴する

2015-01-29

随筆(手記)は気楽に読める。それは、どこから読み始めてもよいし、どこで終了しても大丈夫だからである。ミステリーみたいに登場人物の名前を覚えていて、話の展開についていく、ちょっとした伏線を見落とさないようにするーそんな緊張の連続は不要である。この手記は緊張なく、だらだらと読んでいける点がいい。

A member of society (no. 211)というような表現がでてくる。「社会の一員」である。日本ではやたらと「社会の一員として」という言葉が頻出するが、これは日本の文化を示す特徴的な語であり、英語では a member of society という言葉はあまり使われないと思っていた。しかし、この手記の中で使われている。稀に使われる表現だと思う。もっとも… I have never learnt to regard myself as a “member of society.” (no. 211) とあり、引用符で囲んである。それは member of society とはいかがわしいと感じているからか。

ライクロフトは人間嫌いである。世間と自分の関係は hostile (no. 211)と言っている。この点は私も理解できる。冠婚葬祭がからむと面倒臭くて嫌になる。また、学者の世界では、義理でシンポジウム、学会発表などに出席を求められることがある。借金の無心をされるのも嫌である。そんなことから私も、世間と縁を切って、のんびりと自分の世界に遊びたいと思うこともある。

That day I must have walked some thirty miles, yet I knew not fatigue. (no. 236) という文がある。30マイル歩く!えつ?1マイルは1.6キロであるので1日で48キロ歩いたことになる。その当時のマイルはネットで調べた限りではやはり1.6マイルのようだ。ほとんど一日中歩き続きたことになるが、若い頃は可能だろうと思う。

いろいろと連想をしながら読んでいく。自分の歳になるといろいろと共鳴する箇所がたくさん出てくる。ライクロフトは自分かと思うことが多々ある。

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