異文化の森へ

グリム童話集と子供の伝説を読み終える

2015-01-26

子供の伝説集第4話から第10話までを読み終える。異教的な世界ではなくて、キリスト教的な匂いが強まっていて、これは確かにグリム童話集の世界ではないと感じる。

第4話は Armut und Demut führen zum Himmel である。ある時に王子がどうしたら神の国にいけるかと思って、老人とあって7年間苦役をすることを勧められる。そして、7年後にお城に戻ろうとするが、誰も彼だと分からずに、病気になって死んでいく。そして、そのお墓にはユリとバラが咲くのである。

第5話は Gottes Speise である。二人の姉妹がいて、姉は裕福だが、妹は家譜で5人の子持ちである。妹は飢えで苦しみ姉に助けを求めるが拒絶される。後ほど姉は後悔して妹の家に行くと、みんなは餓死するところで、nach irdischer Speise verlangen wir nicht mehr (no. 10938)と妹は言って死んでいく。

第6話は Die drei grünen Zweige である。ある隠者の物語である。よく分からない、隠者が何か神を怒らせることをしたようでもあるし、そうでもなさそうで、面白くない話である。

第7話はMuttergottesgläschenである。ある男がワインを積んだ車を難儀をしながら引いている。そこに、Mutter Gotes (聖母マリアのことか?)がやってきてワインを一杯飲ませてくれたら助けると男に言う。男は同意するが、グラスがない。そこで聖母は赤い縞模様の白い花をグラス代わりにしてワインを飲む。車はたちどころに軽くなった。その花はそれ以来、Muttergottesgläschenと呼ばれるようになった。

第8話はDas alte Mütterchenである。孤独な女がいる。夫を亡くし二人の子供をなくす。そして神を恨んでいたある日、教会に行くとそこで死んだ親戚と出会って、神の摂理を教えてもらう。それで女は安心して亡くなる。なんか、ピンとこない話である。

第9話はDie himmlische Hochzeit である。これも悲しい話である。少年が天国に行きたいと思い、まっすぐまっすぐに進んでいく。そして、教会に達する。少年はそこが天国と思い込む。牧師たちは少年に仕事をさせておいておくことにする。少年は食べ物の半分を聖母の像に捧げる。そのために病気になり、ついに亡くなる。それを fiel er um und war tot und war zur ewigen Hochzeit (no. 11012)と形容している。

第10話はDie Haselrute である。子供のためにイチゴを摘みに行った母親が蛇に襲われるが、なんとか逃げる。聖母が Haselruteの後ろに隠れていてイチゴを集めて母のところに持ってきてくれる。それ以降はHaselstaudeは蛇に対する防御にいいことになった。
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ようやくグリム童話集を読み終えた。長い時間をかけたので感慨無量である。とにかく、この童話集は通読すると魅力が半減するだろう。1日に2、3話ぐらいずつ味わいながら読んでいくといいと思う。それぞれの話の中に入り込んでしばらくその中で遊ぶことがいいだろう。余計なことを考えずに、その世界に没頭するととても楽しい。そして、これらの話はそれぞれが個性的であるようにも思える時もあれば、幾つかのパターンに分類できそうにも思える時もある。しかし、分類できるか否かと考えることは専門家の仕事であり、私たちはただただ楽しめばいいのだと思う。

この童話集にハマる人もで出てくるだろう。とにかく、ドイツ語で読むのが一番だということは実際読んでみて分かった。それはこの物語がドイツ語のリズムとかなり結びついているからである。セリフがよく出てくるが、脚韻が踏んである。とにかく、読み上げられることを前提に作られた物語である。また、結構言葉遊びの要素もある。そんなことでドイツ語で読むのが一番深く味わうことができるだろう。ときどき英訳で読んでみたが、この物語の豊さがなくなり、なんとなく痩せこけた代用物を読んでいるような気がした。

次は何を読むか。Gissing のPrivate Paper of Henry Ryecroft を読もうと考えている。

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