異文化の森へ

182

2015-01-21

第182話 Die Geschenke des kleinen Volkesを読む。日本昔話「こぶとり爺さん」とすこし似た点もある。仕立屋と鍛冶屋が一緒に旅をしている。日が沈み暗くなったときに、どこからともなく音楽が聞こえてくる。近づくと、小人たちが歌い踊っている。二人も招かれて輪に入って楽しむ。すると、小人の中の長老が石炭の山を示して、石炭を持っていくように指示する。彼らはとにかく言いつけに従って石炭をポケットに入れる。

次の朝になると、その石炭は黄金に変わっていた。二人は金持ちになる。ところが、鍛冶屋はもっと黄金が欲しくなり、小人たちのところに戻り、たくさんの石炭をカバンに詰めて戻る。ところが、翌朝見ると、石炭はやはり石炭であり、それどころか、以前からの黄金さえも石炭に戻ってしまった。体についていたコブ (Höcker) までも二倍になり、自分の不幸を嘆き悲しむ。しかし、仕立屋は親切にしてくれて、du bist mein Geselle auf der Wanderschaft gewesen, du sollst bei mir bleiben (no.9930) と言ってくれて、鍛冶屋の面倒をみてくれた。

要はあまり欲張りすぎではいけない、という教訓である。なるほど。しかし、もっと欲しくなるのは人間らしい本能ではないか。

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