異文化の森へ

アリババの話とグリム童話集の関係

2015-01-05

第141話は Das Lämmchen und Fischchen である。兄と妹が住んでいた。彼らの実の母はなくなり、継母が家にいた。継母は二人を嫌い、男の子を魚にして、女の子を羊に変えてしまう。継母は客が来るので羊を料理しようとするが、コックは羊が女の子であることを見抜いて、二人をよく知る 乳母のところに連れて行く。乳母は二人をdie weise Frau の所へ連れて行き下の姿に戻してもらう。特に面白い話ではない。

第142話は Simeliberg である。これは「アリババと40人の盗賊」の話と似た話である。金持ちの兄と貧しい弟がいた。貧しい弟がある日、12名の男たちが山の前に立って、Berg Semsi, Berg Semsi, tu dich auf. (no.8486)と唱えると山が割れて中に入っていくのを見た。しばらくすると、男たちは出てきて、Berg Semsi, Berg Semsi, tu dich zu. (no.8493) と唱える。すると山は元に戻って入り口は塞がった。

弟は中に入って沢山の黄金や宝石を見つける。それを家に持ち帰り豊かに暮らす。兄は弟が裕福になった理由を知り、自分もその黄金を手に入れたいと思った。早速、山へ行く、そして呪文を唱えて宝の宝庫の中に入る。そして出ようとして、Berg Simeli, Berg Simeli, tu dich auf. (no.8506)と唱える。しかし、間違った呪文だったので開かない。あれこれするうちに12名の男たちが帰ってきて、兄を見つけて殺す。そこで終わっている。アリババではさらに話が続くのだが、グリム童話集ではここで終了している。

アリババの話からの影響は否定できないだろう。Wikipediaによれば、「18世紀初めにフランスの東洋学者ガランが『千夜一夜物語』の第11巻に入れた(”Histoire d’Ali-Baba et de quarante voleurs exterminés par une esclave”)ことで世界中に知られた」とある。すると、話の提供元のルドヴィーネ・フォン・ハクストハウゼンの女性たちが、千夜一夜物語からの影響で生まれた話を提供したと考えて時間的にはつじつまがあう。しかもアリババでは、Sesame という呪文だが、グリム童話集のこの話では、Semsi となっている。このこともアリババの話からの強い影響を確認することができる。(むしろ、疑問なのはグリム兄弟はこの話がアリババからの強い影響はを見て、非ゲルマン的と考えて、童話集に入れるのを何故とりやめなかったのかと思うのだが)

なお、アリババの話は元々は千夜一夜物語に入っていなかったようだ。Wilipediaでは、ガランは、シリア北部アレッポの出身でフランスに滞在していたハンナ・ディヤーブ(Hanna Diab 又は Youhenna Diab)から聞き取り、千夜一夜の翻訳の続きに加えたとしている」どこからかは由来は本当はわからないようだ。

第143話は Up Reisen gohn という話である。これまた方言で書いてある。しかし、全くわからないという訳でもない。下にその文章を数行記す。
Et was emol ne arme Frau, de hadde enen Suhn, de wull so gerne reisen, do seg de Mohr »wu kannst du reisen? wi hebt je gar kien Geld, dat du mitniemen kannst. (no.8517)

短い話なのでなんとか見当つけて読んでみる。言葉遊びのようだ。旅に出た息子は人に出会う旅に、唱える言葉を覚えるが毎回とんちんかんに働き、最後には実家に戻るという話。言葉遊びが面白いのかな。

モバイルバージョンを終了