異文化の森へ

Greffier の仕事

2014-11-30

Lecoqを相変わらず読んでいる。今日は家内とイオンに行った。家内が買い物をしている間、ソファを見つけてそこにすわり、しばし、Lecoqを読んでいた。だんだんと面白くなってきた。それにつれて速度もあがり、速く読めるようになってきた。

判事のM.Segmuller の尋問と答える Mai の間のやり取りの場面が面白い。判事は鋭い質問をする。それに対して、Mai も用意周到に答えて、なかなかぼろを出さない。二人の丁々発止のやり取りはこの本の魅力の一つとなっている。ここでは、主人公は Lecoq から M.Segmuller にバトンタッチしたように感じる。

また、書記・筆記係(greffier)の役目も大変と思う。二人のやり取りを筆記している。この時代はペンとインクの時代であろうし、常にインク瓶にペンを入れてインクで濡らしながら、やり取りを筆記していく。大変に面倒くさい作業だと思う。しかも、ときどき判事は書記に Mai の発言を確認する為に、筆記部分を読み上げるようにいう。そして、書記はちゃんと記録しているようで正確に読み上げる。

私自身も会議での記録係をしたことがあるので、これは大変な作業と思う。会議では要旨をまとめればいい、しかし、このような尋問では、一言一句記す必要がある。数時間にわたり、この書記はどのようにして記していったのか。あるいは書記は速記法で記していったのか。フランスでの速記法の起こりと裁判などでの活用はどうなっているのか、このあたりは調べてみたいと思う。

No.2296 に次のような文章がある。, un peu sans doute comme Molière consultait sa servante. これはどのような意味か。モリエールの有名な作品のある場面を踏まえているのだろう。どの作品かは分からない。そこで、Googleで調べると、どうも「モリエールは作品を書く時は自分の召使いに原稿を見せて意見を聞いた」ようだ。つまりモリエールのように判事は書記の意見をときどき聞いたということのようだ。

Lecoq は Mai の陳述をたよりに何とか彼の泊まったホテルを見つける。でもMai の証言通りだったので、Lecoq はかなり失望する。彼の陳述のほころびを見つけようと頑張っているのだが、今のところは完璧であり、なかなか突破口が見つからない。そして、Absinthe がやってきて、追跡に失敗した話をする。それは追跡の途中である人と賭けをしてお酒を飲んでしまって寝たからだと言う。これはユーモラスで面白い。この男は、この小説の中では、喜劇を演じる役目のようだ。

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