2014-09-25
Monsieur Lecoq を順調に読んでいる。リーダーのGévrol から独自の捜査をすることを許されて、さらに補佐役を選ぶことも許された。彼が選んだのは、C’était un bonhomme de cinquante ans, qui, après un congé dans la cavalerie, était entré à la Préfecture. (no.304)である。騎兵隊を退役してから警察で働くようになった50代の年配男である。酒を飲むことだけが楽しみで、彼はあだ名が le père Absinthe である。ところで、辞書でabsintheを調べると、リキュールの一種とある。日本でむかしアブサンというお酒の量販店があったが、ここからその名が来ていることが分かった。
50代の男を部下に指名する Lecoq だが、フランスの文化では特に問題はないようだ。日本ならば、20代の若造に補佐役を指名されて喜ぶ人間はいない。しかし、le père Absinthe の Lecoq への態度には反発は見られない。ただ、注意深く読むと時々自分の年の功を強調しているようにも思えるが。才能のある人にはすぐに役職につける、追い越された年配者はそれで特に腐ることはない、という点は西洋社会の大きな特徴だ。
二人はワーテルローの戦い la bataille de Waterloo (no.351)について議論している。年配の男は昔騎兵隊にいたので、その議論に興味をしてしている。それよりも、ワーテルローがフランス人の心に残したトラウマはかなり大きいと感じる。当時のフランス人に取っては、フランスが世界一の国家になる大きなチャンスを逃したとして心残りなのであろう。