異文化の森へ

I have found my grave where my grave was waiting for me.

2014-08-17

The Moonstone を4割ほど読んだ。読み始めてから4日目である。英語の小説ならばだいたいこれくらいの時間をかければ読み終わるのだが、まだ終わらない。この本はかなり長い小説であることに気づく。kindleでは、本の厚さは分からないので、全体の分量が当初は掴みづらい。

この本のクライマックスの一つは薄幸の女(Reformatory にかって収容されていて、deformedで、Mr. Franklin に恋心をいただいていた)の自殺であろう。彼女の遺書をここに記してみる。自分は非常に心打たれた。
“You have often forgiven me, Mr. Betteredge, in past times. When you next see the Shivering Sand, try to forgive me once more. I have found my grave where my grave was waiting for me. I have lived, and died, sir, grateful for your kindness.”(no.2648)

語法的なことをいくつか述べる。The change in the weather (no.2412) という表現だが、change のあとは in を使うことに自分はまだ慣れない。The change of the weather としたいが、何回かこのような表現をしてネイティブの人から訂正されたことがある。Please to let me go on with my work. (no.2456) とあり、薄幸な女性が語り手の親切な申し出をかたくなに断る文である。Please のあとに、to 不定詞がつくことに注目したい。 …till the clock on the front staircase struck the quarter to two. (no. 2471) という文章では、quarter の前に定冠詞theがついている。不定冠詞aではない、これは何故か。The Indians will be set free on Wednesday in next week. (no.2475) この文も、現代では前置詞 in は付かないで next week だけになる。Judging from that, how fond he must have been of her! (no.2533) だが、形容詞 fond が前に移動している。現代では、be fond of は一つの成句と考えられて、形容詞だけの前方への移動はまれではないか。The death she has died was a death of her own seeking. (no.2611) 同族目的語として death / die が使われている。ややもったいぶった言い方になる。現代では、Her death was …. と簡単にまとめるだろう。in which I spoke to you half an hour since (no.2705) では、since が ago の意味で使われている。

19世紀のイギリスのミステリーであり、十分に英語の古風な味わいを楽しむことができる。アメリカのミステリーのように激しいアクションはないが、人々の心の動きを丁寧に描写しているので、ゆっくりと味わい読むだけの価値がある。

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