異文化の森へ

The Moonstone

2014-08-15

昨日から、The Moonstone (by Wilkie Collins, kindle version) を読んでいる。今までのところ10%ほど読んだ。Gabriel Betteredge という執事が語り手である。面白いのは、この執事はRobinson Cruse を読むのが趣味で、何か決断に迷うことがあるとこの本をあけてそこに書かれたメッセージを読んで、自分の決断の参考にしている点である。当時既にロビンソンクルーソーは評判になっていたが分かる。

語法的なことをいくつか書く。 25歳を示すのに、he was five-and-twenty years of age. (no.286)と言っている。ドイツ語と同じ表現法である。(むかし、英会話学校で、ドイツ語の影響でこのような言い方をしたら、先生から tweny-five と直されたことを思い出した。)これは古風な言い方だが優雅な雰囲気がでる。一般に、現代人に取って、The Moonstone の文体は古風だが読みやすい。

“There’s roast mutton and suet-pudding waiting for you!” says I. (no. 436)という文がある。主人公がメイドの一人に夕食に戻ろうと諭す場面である。says I という部分に注目したい。現代ならば、I said. となるのである。ここでは、主語の I の位置に注目したい。情報構造の理論ならば、代名詞の I は動詞の前に来るはずだが、ここでは後ろに来ている。1868年に書かれた本だが、その当時の英文は現代の情報構造の理論とは合致しない部分があることを示している。 この本では、 不定詞の否定形はnotを不定詞の前につけてある。先日読んだ『多崎つくる』の英訳では、not は to の後ろにおいてあった。対照的である。その形式の方が現代風の感じがする。

インドのダイヤモンドが中心になっているので神秘的な雰囲気が出ている。これがロンドンで加工されたダイヤモンドならば神秘感は半減するだろう。(no 615) The Colonel had been a notorious opium-eater for years past; に注目する。阿片は吸うのではなくて、eat するのだと分かった。

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