2014-05-27
今日は、The Altar と Shape という二つの物語を読んでみた。最初のThe Monsters はとても面白かった。それぞれ及第点はもらえそうな物語である。おそらくパルプ雑誌に掲載された小説を後ほどまとめて短編集として発売したのではと思う。でも、文明批判の視点からもしっかりと書かれている。「パルプ雑誌」という言葉から連想されるような安っぽい短編集では決してない。
いまのところ、冒頭の物語が一番面白かった。短編集は何と言っても冒頭の話が大切である。この話が面白いと読者は読み進むだろうし、本屋で立ち読みした読者も購入に至るだろうから。そして、最後の話も質の高い物語を選ばなければならない。話の並べ方も大切である。Hauff の童話集の配列に苦しんだ自分としては、Robert Sheckley の短編集は今までのところ安心して読める。構成が常識的であるのは何と言っても安心だ。
SFの世界は、やや入り口の敷居が高いといえる。全然異なる世界を構築するのであるから、入って戸惑う事が多いだろう。作り上げた世界が居心地がよければ、慣れれば読者はいつまでもそこにいる、そして住着きたいと考えるのであろう。自分が今までに住着きたいと考えた世界はナルニア国の物語である。サラリーマンの頃、電車の中で少しずつペーパーバックで読んでいったが、完全にあの世界に入り込んでいた。40代の頃に、自宅のソファーでゆったりと読んだクリスチャンジャックによるラムセス王の物語も懐かしい。SFの短編は急速に読者を世界に誘い込まなければならない。長編ならばゆっくりと慣れてもらう事が可能なのだが。SF自体に慣れていない読者には、何だこの世界は?と入り口にさえ入ってもらえないかもしれない。それゆえに、SFを愛する読者層は限られるであろう。
人はなぜ物語を読みたがるのだろうか。違う世界を知りたい。日常を超えた異次元の世界、あるいは海を越えた世界での出来事を知りたい。好奇心が起因と言えるのか。旅に出たいと考える事と似ている。本来ならば、自分の会社の売り上げを伸ばしたり、作物の収穫をあげる事に努力を集中すべきだが、なぜか非生産的なことに熱中してしまう。 それ故に、実利的な人からは、役に立たない奴と白い目で見られてしまう。