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英語とドイツ語の語彙の比較が面白い。

英語とドイツ語の語彙の比較が面白い。今、福田幸夫著 1970『ドイツ語と英語はどう違うか』郁文堂、という本を読み始めた。この本では、ドイツ語と英語の語彙の比較、語源的なつながりが示してあって面白い(p.5)。

(1) 英語のroom の意味は、元来 space(空間)の意味より由来した。ドイツ語のRaum では原義が残っていて、Raum = 空間である。それから由来した aufräumen は片付ける、との意味であり、空間の中を取り除くという意味が見えてくる。

ところで、「部屋」はドイツ語では、Zimmerである。これに該当する英語は timber  (材料)である。「部屋」という概念を表現するのに、英語はその空間性に注目しているのに、ドイツ語ではその材料に注目しているのは面白い。

「広い」という形容詞では、英語では spacious であるし、ドイツ語では geräumig となるので、この点では、両言語の考え方は共通している。

(2) 英語の town に意味上で対応するのはドイツ語はStadt である。これは、stehen から由来しており、Statt (場所), Statue (立像)などと同根である。英語のtown は英語の stand などとは関連せずに、ドイツ語の Zaun (垣根、柵)と関係すると言う。英語では、一定の領域に柵をめぐらせて他と区別したことから、町という概念が生まれた。町という概念は、ドイツ語では抽象的な概念から発生したが、英語では、柵という具体的な事象から生まれた。

(3) 英語の small に意味が該当するのは、ドイツ語は klein である。small は、ドイツ語の schmal と対応する。なお、klein は英語では clean に語源が共通である。

(4) 英語とドイツ語で同根であるが、意味が相違してきた語を比較すると面白い。statt (満腹した)- sad (悲しい)それから、glatt (磨きのかかった)- glad (嬉しい)、Zeit (時代)- tide (潮)などがある。

このように、英語とドイツ語では形と意味が似ていて単語の組があるが、このように形と意味が少々異なっているものを比較してみると面白い。 

 

 

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