異文化の森へ

『魔女の宅急便』のDVDを見る。


昨夜は、『魔女の宅急便』のDVDを見た。感想はとても面白い。評価は80点のできだ。

13歳になった女の子キキは一人前の魔女になるために一年間親元を離れて一人で生活しなければならない。その後に魔女として独り立ちするのだ。新しい町では、魔力が急に使えなくなるという挫折も経験する。でも、この町で見つけた友情や恋や人々の思いやりによって成長していく。女の子の成長ストーリーである。

昔から、男の子には、はっきりとした通過儀礼があった。12歳前後に何か苦難を与えられ、それを乗り越えることで、一人前の大人と認められる。親元を離れて修業して一人前になるという考えは普遍的に見られる。現代では、さだめし、上京してひとり暮らしをしながら大学に通うことがそれに当てはまるであろう。

女の子の通過儀礼のストーリーは、『白雪姫』などがあるが、数はそれほど多くはない。一方、男の子ならば、通過儀式の物語はそれこそ山とある。桃太郎、大国主命の求婚の物語などが代表例であろう。ドイツでも、いわゆるビルドゥングス・ロマンは沢山ある。最近の『ホビット』や『指輪物語』もそうであろう。コンピュータ・ゲームなども、ドラゴンクエストのシリーズなどはその例であろう。ドラゴンを退治して故郷に凱旋するというゲームは典型的な通過儀礼である。

女の子の通過儀礼は、男の子の通過儀礼ほど血なまぐさいはない。この『魔女の宅急便』でも、人々とのコミュニケーションが徐々に確立してゆくことで、主人公キキの世界が広がってゆく。大きな挫折は魔法が使えなくなったことだが、これはトンボという男の子を助けることで、魔法の力を回復する。他者を助けることで、魔法が再び使えるようになったのだ。

自分の仮説としては、男の子の通過儀礼は目的(たとえば、怪獣退治)に向かって一直線だが、女の子との通過儀礼は周囲との関係構築を図りながら、女性として成長してゆくパターンが多い。最終的には、王子様を見つけることでハッピーエンディングとなるようだ。これは自分の仮説なので、いろいろと事例を見つけて仮説の補強をしたいものだ。

自分が見たのはアニメ映画であったが、これはもともとの児童向けの本があり、さらには実写映画もあることを知った。機会があれば、これらも是非とも読んで見てみたい。

 

 

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