異文化の森へ

Sleeping Beauty を読み終える。


Sleeping Beauty (Ross Macdonald, 1973, Vintage Crime)を読み終える。相変わらず、彼の犯罪小説は病んでいる。暗い過去、その過去を少しずつ暴いてゆく私立探偵 Archer の存在。

これで彼の本を何冊ぐらい読んだことか、10冊ぐらいか。さすがにちょっと飽きてきた。パターンが同じだ。この本を初めに読んだら、それなりに感動を感じたであろう。やはり、彼の本は間隔を置いて読むべきことが分かった。

でも、ある程度の感動はやはり感じる。心にしみるのは、やはり女性たちの寂しさであろうか。孤独、neglected, abandoned などが彼女たちの特徴だ。それに反してmen の身勝手な振る舞いが対照的である。そのすさんだ心内の情景に石油汚染という実際の情景が重なる。筆者の技巧は素晴らしいが、問題は私が彼の本を続けて読んでいるということだろう。

語法的なことを二つ。p.41 に黒人を称して Black man と述べている。The black man’s voice was flat and toneless. という文がある。今までの彼の本では、黒人を形容する場合は、Negro であったが、この頃からBlack という表現に変わってきている。

次は、主格を使うべき所を目的格を用いている点だ。p.197 に次のような文がある。His mother’s people criticized me plenty for living here with Tom. I thought me and him could live it all down, you know? この下線部の me and him は当然、I and he であるが、working class の人の表現であることを示すために、彼らの言い回しとしてこのような言い方を使ったのであろう。

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