異文化の森へ

自分の命をかける

2015-08-31

主人公は秘密組織の暗殺者となろうとしている。そして、暗殺者たちはもしも捉われたりしたら、自分で自分を始末することを求められる。There is the old hollow tooth with cyanide. (no. 943)とあって、歯の中のカプセルを自分で噛み砕いて毒死することが必要だ。しかし、捉えた側はそのことを知っていて、すぐに猿ぐつわ(gag)をして口を噛めないようにする。

暗殺者たちは肩甲骨の間に埋め込んである小さなカプセル (a little capsule between my shoulder blades) を、腕をある格好に動かすことで容器が破れて毒が全身に回り死ぬことができるようになっている。

あるメンバーは I’ve got a bomb in my belly. (no.949)と言っている。最後の土壇場にきたら周りの敵と一緒に自分を吹き飛ばすようだ。近年の中東における自爆テロを想起させるものである。

それから、Heinlein のアメリカの政治体制への信頼は揺るぎないことがわかる。この小説では、アメリカは現在独裁制度がひかれているが、その前は民主主義のアメリカがあった、その時代へ戻ろうと秘密組織は懸命の努力をする。思想的な拠り所として、トーマスペインやジェーファソンの政治思想が言及されている。自分としては、白人の支配体制の中で黒人や先住民に対しての差別迫害への反省がない点が驚きだが、この当時1950年代のアメリカの素直で純朴な民主主義が跋扈していたのであろう。

このことは、この前読んだ The Puppet Masters にも垣間見える思想であった。アメリカ人の傲慢さ、と言ってもいいだろう。

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