異文化の森へ

今ある「生」への執着

2015-04-11

The Sun Also Rises を読み続ける。この本は大学生の頃に30ページほど読んでみたが、退屈で断念したことがある。この歳になると、今回は楽しんで読める。登場人物たちの会話も味わって読むことができる。

Jake と Brett は恋人同士なのか。「愛し合っている」と言ったり、「もう会わないほうがいい」(We’d better keep away from each other. no. 1851)と言ったりするが、これらはゲームのような気がする。若い二人が真剣に会話を交わす場合と異なり、退屈している中年の男女がゲームのように会話を交わしている。

二人とも酒が好きだ。すぐにバーとかレストランに行き、美味しい料理を食べて、ブランデーとかワインを味わう。交通手段はタクシーを使うことが多い。散歩するという場面が少ない。裕福な階層の中年の男女の会話などが、自分の今の年ならば、楽しんで読むことができる。また、パリを舞台にしているのはこの小説の強みである。これがアメリカの無名の町のレストランやバーでの出来事ならば、読者はあまり共鳴しない。

彼らの頭には「死」の概念が去らない。常にいつかは死に飲まれてしまうことを強く意識している。それゆえに、今ある「生」に執着するのか。

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